被害広がるトコジラミ、厚い表皮で殺虫剤に対抗 豪調査
(CNN) 世界各国の宿泊施設で繁殖して被害を増大させているトコジラミは、殺虫剤を使うほど表皮が厚くなり、一般的な殺虫剤が効きにくくなっているという調査結果を、オーストラリア・シドニー大学の研究チームが米科学誌プロスワンに発表した。
トコジラミは人間の血を吸う寄生虫で、ここ数十年の間に世界中で被害が急増している。しかし対策を強化するほど殺虫剤に対する耐性が高まっていることは、これまでの調査でも判明していた。
トコジラミの繁殖による各国の観光業界や宿泊業界の被害は相当な額に上る。専門業者による駆除の費用は1室あたり200~1500ドル(約2万2000円~16万円)。それでも駆除できないこともある。
シドニー大学の研究には殺虫剤メーカーも協力。トコジラミの表皮が厚くなるほど、殺虫剤に対する耐性が高まることが分かった。
「トコジラミが殺虫剤に対抗する生物学的仕組みが分かれば、表皮の隙き間を見付けてそこを突く新しい戦略が確立できるかもしれない」とシドニー大学の専門家は解説する。
研究チームは今後も弱点を探し続ける方針で、トコジラミとの戦いはまだまだ続きそうだ。