破れた衣類も自己修復できる液体、米大学が開発
ニューヨーク(CNNMoney) お気に入りのTシャツやジーンズをうっかり破ってしまっても、繊維が自己修復されて元通りの状態に戻る――。米ペンシルベニア州立大学の研究チームがそんな衣類の実現につながる液体を開発した。
研究チームは細菌や酵母を使って生分解性のある液体を開発。切り離した繊維にこの液体を数滴垂らし、湯に浸して接合部分を1分間押さえると、繊維がつながって元に戻る。
同大のメリク・デミレル教授は、この液体で衣類をコーティングする方法や、同技術を応用した繊維で衣類を製造する方法で、破れても自己修復する製品ができると説明する。
開発された液体は、人の毛髪や爪、イカの触手に含まれるたんぱく質と似た構造や特性を持つ。
研究チームはイカのタンパク質に自己修復の特性があることを発見し、バイオテクノロジーなどの技術を使ってこの特性を再現。木綿、ウール、ポリエステルなどの素材で実験を重ねた結果、素材の品質を損なうことなく修復でき、修復した衣類は洗濯機での洗濯にも耐えられることが分かった。
次の段階として、液体を洗濯用洗剤のように洗濯機に入れて水と熱を加えることで、衣類が修復できるかどうか試したい意向。
この研究は米海軍研究所と陸軍研究所の助成を受けており、兵士や医師などの装具への応用を見込む。さらには「衣類の廃棄は世界の主要な問題になっている。これが衣類の寿命を長引かせる手段になるかもしれない」とデミレル教授は話している。