大気汚染が糖尿病の原因に、世界で年間320万人発症 米研究
今回の研究では、糖尿病の病歴がない米退役軍人170万人について、中間値で8年半の継続調査を行い、糖尿病の発症率と、大気汚染の程度を比較した。
その結果、1立方メートル当たり5~10マイクログラムの大気汚染物質にさらされた退役軍人のうち、およそ21%が糖尿病を発症していたことが判明。このレベルの大気汚染は、EPAが定める1立方メートル当たり12マイクログラムの安全基準を大きく下回る。
大気汚染物質が11.9~13.6マイクログラムに増えると、リスクはさらに増大して糖尿病の発症率は約24%になった。この3ポイントの増加はそれほど大きな差には見えないかもしれないが、人数に換算すると、年間で10万人のうち5000~6000人が追加で糖尿病を発症している計算になる。
研究チームは各国で行われた研究などをもとに、大気汚染の程度に照らし合わせて糖尿病のリスクを診断するモデルを作成した。
国別にみると、インドやアフガニスタン、パプアニューギニアなど、大気汚染対策が進んでいない国では、大気汚染に起因する糖尿病のリスクも高いことが判明。一方、フランスやフィンランドといった富裕国はリスクが低い傾向にあった。米国のリスクは中程度だった。