「アイスマン」の最後の食事、肉や穀物などバランス良く
(CNN) イタリアのミイラ研究所などは14日までに、イタリア北部のアルプス山脈の氷河で発見された「アイスマン」として知られる男性のミイラ「エッツィ」の最後の食事の内容が判明したとの研究報告書を公表した。
放射線機器などを用いて胃の内容物を分析したもので、死亡した際には満腹状態だったことが判明。最後の食事は炭水化物、タンパク質や脂質などの面で非常にバランスが取れたもので、高山地帯での徒歩旅行には最適の組み合わせだったとした。
ただ、脂質の比率が極めて高く、野生の動物の肉、穀物や毒性のシダ類が含まれる形跡もあったとした。今回の報告書作成を主導したミイラ研究所の微生物学者のフランク・マイクスナー氏は、肉は調理されず乾燥させたものの可能性があるとした。
同氏は胃の中の内容物がこれほど多く保存されていたことを幸運とし、食べたもののうち脂質性の食材が約40%を占めたことに驚いていると述べた。
新石器時代の食事内容の大きな変化に関する研究はこれまであったが、今回の研究結果は当時の住民の日常の食べ方や食べ物の内容に初めて手がかりを与えた可能性があるとした。
オーストラリア国立大学の自然人類学の研究者は、人間の遺骸が良好な状態で保存され、科学者が胃の中から生体分子を回収出来たのは非常にまれと指摘。「アイスマンが寒冷な高山地帯の環境の中で脂質、肉や穀物をうまく摂取していたことは人類の適応力の証左」として、人類の過去を研究する上で極めて大きな意義があると評価した。
エッツィは5300年前に死亡したとされ、ハイカー2人が見付けていた。科学者は着衣や使っていた武器なども調査し、当時の生活ぶりを新たに解明していた。