舌に黒い毛がびっしり?、珍しい症例を報告 米医学誌
(CNN) 舌の表面が毛で覆われたように黒く変色する珍しい症状について、米ミズーリ州セントルイスにあるワシントン大学医学部の研究者が5日、米医学誌ニューイングランド・ ジャーナル・オブ・メディシンに論文を発表した。
ワシントン大学医学部の助教、ヤシル・ハマド博士が取り上げたのは、舌の表面が黒く変色した55歳の女性の症例だ。女性は交通事故でできた傷口の感染症を治療するため、ミノサイクリンと呼ばれる抗生物質を服用していた。
それから1週間ほどして、女性の舌は短い毛がびっしり生えたかのように黒く変色。女性は吐き気を催したり、口中に不快な味を感じたりするようになった。医師が投薬パターンを変更してから4週間後、舌は通常の色に戻ったという。
女性を直接診察したハマド博士は、当該の症状がどれほど珍しいものかは判然としないものの、医師として勤務した10年間で実際に見たのは初めてだとしている。
舌の表面に黒く見えるのは毛ではなく、乳頭と呼ばれる小さな突起が長く伸びて変色したものだ。通常、乳頭の長さは1ミリに満たないが、昨年には12~18ミリまで伸びた症例が報告されていた。
乳頭が伸びるとその先に食べ物のかすが微細な粒子となって付着し、舌の上の細菌や微生物の成長を促すと考えられる。こうした微生物などの増加が舌の変色を引き起こすとみられる。
舌が黒くなる症状は一部の医薬品の副作用としてあらわれるほか、喫煙や不衛生な口内環境、特定の医学的症状とも関連している可能性がある。ハマド博士は舌の変色に気が付いてもパニックにならず、かかりつけの医師の診察を受けるように助言している。