米億万長者、学生のローン返済を全額肩代わり 卒業式スピーチで発表
(CNN) 米ジョージア州アトランタのモアハウスカレッジで19日、卒業式のスピーチに登場した億万長者の投資家ロバート・スミス氏が、卒業生約400人の学生ローンは自分が全額返済すると申し出て、拍手喝采を浴びた。同カレッジは伝統的に黒人学生が通っている。
卒業生を前にスミス氏は、「この国で暮らしてきた私の家族8世代を代表して、あなた方に少しばかり燃料を注入しよう」と述べ、同カレッジの学生ローン負担を取り除くため、助成金を創設すると発表。「今後も全クラスに同じ機会を提供しよう。全員がアメリカンドリームのチャンスをつかめるように」と語った。
同カレッジのデービッド・トーマス学長によると、卒業生396人のローンを返済するために必要な金額は最大で4000万ドル(約44億円)。「借金を抱えていれば、世界の中で出来ることの選択肢は狭まる。(スミス氏の贈り物は)、夢や情熱を追求できる自由を学生たちに与えてくれる」と申し出を歓迎した。
CNNの取材に応じた学生は、スミス氏の発表を聞いて、最初は耳を疑ったと話す。
ジョナサン・エプスさん(22)は、「いまだに言葉も見つからない。素晴らしい日が一層素晴らしくなった」と歓迎する。エプスさんは学生ローンで約3万5000ドルの借金があり、返済を助けると約束してくれた両親に、このニュースを伝えるのが待ちきれないと喜びを語った。
スミス氏(56)は投資会社ビスタ・エクイティ・パートナーズを創設した起業家で、米紙フォーブズによれば資産総額はおよそ50億ドル相当と、米国の黒人の中では最も多い。
過去にも母校の1つコーネル大学院に5000万ドルを寄付したほか、がん研究や芸術の分野でも多額の寄付を行っている。