ルワンダの「霧のなかのゴリラ」、最後の1頭が死亡か
(CNN) アフリカ・ルワンダの森林で1960年代から80年代にかけ、マウンテンゴリラの生態を研究した米国の霊長類学者、ダイアン・フォッシー氏の著書に登場していたゴリラのうち、最後の1頭が死んだとみられる。同氏の遺志を継ぐダイアン・フォッシー国際ゴリラ基金が発表した。
ルワンダの保護区で暮らしていた「ポピー」という雌ゴリラで、生きていれば先月1日に43歳を迎えていた。しかし昨年8月以降、観察チームの前に姿を見せていないことから、すでに死んだと推定された。
ポピーはフォッシー氏が保護区内にキャンプを設けてから9年後の76年に生まれた。同氏は30年前に現地で何者かに殺害されたが、晩年に出した著書「Gorillas in the Mist(邦題・霧のなかのゴリラ―マウンテンゴリラとの13年)」の中では、幼かったポピーを「愛きょうがあって魅力的」「何をしてもかわいい」と手放しでほめていた。
この著書は88年に同名(邦題・愛は霧のかなたに)のタイトルで映画化され、話題を呼んだ。
若いポピーとダイアン・フォッシー氏=1977年/ Courtesy The Dian Fossey Gorilla Fund
同基金によると、ポピーは王者の家系に生まれ、5人の子どもを産んだ。成長してから別の群れに移ったり、マウンテンゴリラの記録としては最高齢の41歳で出産したりと、観察者らを驚かせることも多かった。同基金の専門家は、ポピーの生涯を通して豊富な知識を得ることができたと振り返り、「彼女のことは永遠に忘れない」と誓った。
フォッシー氏が森に入った時、ゴリラの生息数はわずか240頭だったが、保護活動によって生息数が増え、16年6月時点で604頭となったことが報告されている。