がん治療の医師、元患者の治療費計6700万円超を帳消しに 米
(CNN) 米アーカンソー州でがん治療に携わる医師が、元患者らの未払いの治療費総額65万ドル(約6755万円)以上を帳消しにする出来事があった。医師はCNNの取材に答え、患者らにとって多少なりとも助けになったのならうれしいと語った。
同州パインブラフで30年近くがんの治療院を営むオマール・アティク医師は、地域でともに暮らす人々が病気になった時の治療費の心配をしなくてはならない現状に対し、かねてある種の疑念を抱いていたと明かす。
「ただ、我が国のシステムはあいにくそのようになっている。多くの患者は幸運にも健康保険に加入し、恐ろしく高額なサービスや薬の費用をすべて支払うことができるが、中にはそうでない人もいる」(アティク医師)
パキスタンからの移民で4人の子どもを持つアティク医師は、昨年のクリスマスに合わせて、患者らの未払いの治療費を帳消しにすることを決めた。すべての患者にホリデーシーズンのカードを送り、その中で自分を信頼してくれたことへの感謝と、治療費の支払いの免除を伝えた。
元患者らに治療費の帳消しを知らせたホリデーシーズンのカード/Courtesy Dr. Omar T. Atiq
アティク医師によると、患者らはそれぞれ数百ドルから数万ドルの支払いを抱えていた。新型コロナウイルスの感染拡大の影響で多くの家庭が経済的な困難に直面する中、患者のために何かできることはないか家族と考えたうえでの行動だったという。
4人の子どもたちも全員が医師もしくは研修医だ/Courtesy Dr. Omar T. Atiq
現在アティク医師は、医院を閉鎖する手続きを進めている。今後はアーカンソー医科大学付属のウィンスロップ・P・ロックフェラーがん研究所で、常勤教授としての新たな道を歩むことになる。現時点での患者らは、無事に引き継ぎを済ませた病院でがん治療を継続する。
「彼らのがんが治ることを祈っている。あるいはがんがうまく抑制されて、実り多い人生を送れることを願う。家族や友人、愛する人たちとともに幸せに暮らしてほしい」(アティク医師)