「草食動物」のゾウガメ、ひな鳥を襲い食べる 野生下で初観察
(CNN) 草食動物なのに鳥を狩り、その肉を口にする瞬間を捉えた動画が撮影された。この草食動物の正体は、なんとゾウガメだった――23日の学術誌カレントバイオロジーにそんな研究結果が発表された。
科学者らは、これまで草食動物と考えられていたインド洋の島国セーシェルの固有種、アルダブラゾウガメがアジサシのひな鳥を襲って食べる瞬間を動画で撮影。野生下のゾウガメ類による意図的な狩りが初めて記録されたものになるという。
研究を率いたケンブリッジ大学のジャスティン・ガーラック氏は、「これは完全に予想外の振る舞いで、野生下のゾウガメにおいてこれまで見たことのないものだ」と述べた。
ガーラック氏は、「アルダブラゾウガメは丸太に沿ってアジサシのひな鳥を追いかけ、最後にひな鳥を殺して食べた」と説明。
「遭遇は非常にゆっくりしたもので、ゾウガメはいつも通りゆっくりした足取りだった。一連の出来事は7分間続き、非常に恐ろしいものだった」と述べた。
フリゲート島における環境保護の責任者で、論文の共著者であるアンナ・ゾラ氏は、この出来事が撮影されたのは2020年7月だったと説明している。
ゾウガメ類は草食動物と考えられているが、「時には」カルシウムの摂取のために骨やカタツムリの殻を食べたり、死肉を口にしたりする姿は目にされてきた。
ガーラック氏はCNNに対し、「草食動物が手軽なたんぱく源として、動物の死肉を少々食べることはかなり一般的なことだが、餌とするために意図的に殺す証拠の動画は今回のものが初めてとなる」と指摘。
ただ、こうした行動がアルダブラゾウガメにとってどれくらい一般的なのか、確実なことは言えないため、研究チームはさらに調査を続けていくという。