シャチ2匹がホホジロザメを襲撃、海岸沖から追い出す 南アフリカ
(CNN) 南アフリカ沖に生息するシャチ2匹が2017年のわずか数カ月の間にホホジロザメ5匹を殺した後、ホホジロザメはシャチのいる海域に寄り付かなくなった――。そんな新研究の結果が発表された。
6月29日付の海洋科学専門誌に掲載された論文によると、ホホジロザメはかつてケープタウンの東約100キロにあるガンズバイ海岸付近を支配していたが、近年はこの海域を避けているという。
以前のガンズバイ海岸は人気のホホジロザメ観察スポットだったが、近年では目撃例が激減している。研究ではホホジロザメがシャチに追い払われたことを証明するため、長期間にわたる目撃情報や追跡タグのデータを活用した。
また、海岸に打ち上げられたホホジロザメ5匹の死骸を分析したところ、そのうち4匹は栄養豊富な肝臓がえぐり取られ、1匹は心臓もなくなっていた。5匹とも同じシャチのペアから受けた傷があり、研究チームはこのシャチ2匹が他にもホホジロザメを殺した可能性が高いとみている。
研究では5年半にわたってホホジロザメ14匹を追跡。その結果、シャチの進出に伴い一帯から逃げたことが判明した。ホホジロザメはシャチの存在を知ると、恐怖心からすぐに長期間の集団移動を開始するとみられている。
シャチの襲撃が始まる前、ホホジロザメがガンズバイに姿を見せなかった期間は07年の1週間と16年の3週間のみだった。
つまり、研究チームが目撃したような長期の不在は前例がなく、この海域の生態系そのものを変化させている。いまではクロヘリメジロザメが一帯の新たな中位捕食者として台頭しているという。