スイスの氷河、「85年間で半減」の比較写真
(CNN) 気候変動で融解が進むスイスの氷河が、1931~2016年に半減したことを示す比較写真が公開された。
スイス連邦工科大と連邦森林・氷雪・景観研究所のチームが変化を分析した。10年ごとにニューヨーク・マンハッタンと同じ広さの氷河が消失し、過去6年だけでも氷河の体積の12%が失われたという。
論文の共同執筆者で氷河学者のダニエル・ファリノッティ氏はCNNとのインタビューで、今年は冬に雪が極端に少なかったうえ、夏の気温が異常に高いことから、氷河には「最悪」の年になるだろうと指摘。消失する量は、過去最大を記録した03年を超えるとの見通しを示した。
氷河の消失は動植物や景観に影響し、観光業界に打撃を与える。さらに重要なのは、氷河が住民にとって飲み水や農業用水の貴重な供給元になっている点だ。
ファリノッティ氏らによると、地球温暖化対策の国際的な枠組み「パリ協定」での目標がたとえ達成されたとしても、今世紀中にさらに60%の氷河が消えると予想される。
気候変動がこのまま続けば、事実上「氷のない」ヨーロッパ・アルプスが見られることになると、同氏は警告している。