ロシアのベテラン外交官が辞任、ウクライナでの「侵略戦争」に抗議
(CNN) 20年のキャリアを持つロシアのベテラン外交官が23日、自国のウクライナに対する戦争に抗議して辞任を発表した。複数のメディアが報じた。
ロシアの在ジュネーブ国連代表部に配属されていた外交官、ボリス・ボンダレフ氏はビジネス向け交流サイト(SNS)リンクトインへの投稿でウクライナ侵攻を非難し、「侵略戦争」に加担したとしてロシア外務省を批判した。ロシアでは「侵略戦争」の言葉は戦時検閲法で禁止されている。
ボンダレフ氏はウクライナ侵攻を決めたプーチン大統領の判断に触れ、「私は20年の外交キャリアで外交政策のさまざまな変化を目にしてきたが、今年2月24日ほど自国を恥ずかしく思ったことはない」と言及。「プーチン氏がウクライナ、そして実際には西側世界全体に対して発動した侵略戦争は、ウクライナ国民に対する犯罪であるのみならず、おそらくロシア国民に対する最も重大な犯罪でもある。太字のZが我が国の繁栄した自由な社会への希望と展望をすべて消してしまった」と述べた。
ロシアの経済紙コメルサントがボンダレフ氏に問い合わせたところ、ボンダレフ氏は投稿が本物であることを明らかにした。米紙ニューヨーク・タイムズは、ジュネーブにいる外交官にメールで送られた辞表の受領を確認した。
ロシアの在ジュネーブ国連代表部はCNNに対しコメントを控えた。ボンダレフ氏はリンクトインのアカウントに送ったメッセージに返答しなかった。
リンクトインの投稿はロシア指導層の腐敗を痛烈に批判。「今回の戦争を企てた者の望みはただ一つ。永遠に権力にとどまり、悪趣味な豪華宮殿に住み、トン数と費用においてロシア海軍全体に匹敵するヨットで航行し、制約のない権力と完全な免責を享受することだ」とした。
さらにロシア外務省にも批判の矛先を向け、「偏りのない情報、公平な分析、冷静な予測の代わりに、1930年代のソ連の新聞を思わせるプロパガンダの決まり文句がある」「現在の外務省は外交のための組織ではない。戦争の扇動とうそ、憎しみのための組織だ」などと指摘した。
リンクトインのプロフィル欄には、ボンダレフ氏はロシア外交のベテランで、軍備管理と不拡散に関する専門知識を持つとの説明がある。プロフィル写真にはいま、「#opentowork」というハッシュタグが記載されている。