操縦室にコブラ出現、パイロットの冷静な対応で緊急着陸 南ア
(CNN) 南アフリカで小型機のパイロットが飛行中、自身の体の上を這(は)う毒ヘビに気付いたものの冷静に対処し、機体を安全に着陸させる出来事があった。南ア当局はパイロットの勇敢さを称賛している。
パイロットのルドルフ・エラスマスさんはCNNの取材に、今月3日、同僚4人を乗せて小型機を操縦していたところ、「シャツの下の腰のあたりで冷たい感覚」がしたと振り返った。
「最初はボトルから水が漏れているのかと思った」とエラスマスさん。「左を向いて視線を落とすと、座席の下に戻っていくヘビの頭部が見えた」という。
「一瞬言葉を失った」「まるで脳が状況を認識できていないようだった。(目にした光景を)信じられなかったのだと思う」
エラスマスさんは出発前、空港関係者から「ケープコブラが主翼の下に逃げるのが見えた。エンジンカバーの中に入り込んだのではないか」との話を聞いていた。
機体を捜索したものの何も見つからず、エラスマスさんらはヘビが機外に逃げたものと思い込んでいた。
しかし、ヘビは機内に隠れていた様子で、飛行中に姿を現した。
エラスマスさんは同乗者に状況を告げ、管制官に「ちょっとした問題が起きた」と報告すると、機体を付近に着陸させた。搭乗していた5人にけがはなく、ヘビは操縦席の下で「かわいらしく丸まっている」のが見つかったという。
南ア民間航空当局によると、このヘビは大型のケープコブラ。南ア国立生物多様性研究所によると、ケープコブラは毒ヘビの一種で、成長すると体長が1.5メートルを超えることもある。
民間航空当局は「極めてプレッシャーのかかる状況だったが、機体を問題なく着陸させ、非の打ち所のない勇敢さを示した」とエラスマスさんを称賛している。
ところが、話には続きがある。エラスマスさんによると、着陸後にヘビを捕獲する専門家が呼ばれて機体を探したところ、ヘビは姿を消していたという。エラスマスさん自身も技術者とともにその後2日がかりでくまなく探したが「残念ながら見つからなかった」という。