「火星の自転は加速中」 NASA探査機のデータから

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火星探査機「インサイト」のイメージ図/NASA/JPL-CALTECH

火星探査機「インサイト」のイメージ図/NASA/JPL-CALTECH

(CNN) 米航空宇宙局(NASA)はこのほど、すでに引退している火星探査機「インサイト」の観測データから、火星の自転がわずかに加速していることが分かったと発表した。

インサイトには火星の自転や内部構造を調べる計測装置「RISE」が搭載され、2018年11月の着陸から900日間のデータ収集に使われた。

NASAの研究チームは、地球上の宇宙通信網「ディープ・スペース・ネットワーク」がRISEとの間でやり取りした信号の周波数から、自転速度を割り出した。

その結果、自転は年間約4ミリのペースで加速し、火星の1日は年に1ミリ秒の何分の1かずつ短くなっていることが分かった。もともと地球の1日が24時間なのに対し、火星の1日はこれより40分長い。

自転が加速するペースは極めて遅く、その原因は特定できていない。ただ研究者らによれば、火星の北極、南極に氷が蓄積したり、凍結した土壌が隆起したりした影響が考えられる。惑星の質量がこのように変化すると、自転が加速することもあり得るという。

チームは今年6月、この解析結果を英科学誌ネイチャーに報告していた。

インサイトの活動期間は当初2年間の予定だったが、さらに2年間延長された。太陽光発電パネルがちりで覆われて電力を供給できなくなり、昨年12月に運用を終了した。

自転速度の小さな変化を検出するには長い期間と多くのデータが必要だったと、チームの責任者は指摘する。

RISEではこのほか、火星の自転軸の揺らぎが観測された。そのデータから、火星の核の半径は約1835キロとの推定値が出た。

核の半径については、過去に地震波の観測から導き出された推定値もある。研究チームは新たな値を考慮して、「半径1790~1850キロ」と結論付けた。

インサイトが4年間の観測活動で収集したデータから、これまでに火星の内部構造に関する一部のなぞが解明されてきた。データの解析は、今後も数十年にわたって続く見通しだ。

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