ヒアリ密集の「いかだ」、洪水に乗って移動 オーストラリア全土に拡散の懸念
(CNN) 大規模な洪水に見舞われたオーストラリア北東部のクイーンズランド州で、侵略的外来種のヒアリが密集して「いかだ」を作り、水の上を移動している。異常気象でヒアリがオーストラリア全土に拡散する事態も懸念される。
侵略的外来種対策団体のISCは16日、「このところの豪雨や激しい気象のために、世界最悪級の侵略的外来種であるヒアリの拡散が加速する可能性がある」と警告した。
「ヒアリは雨の前後に活動が活発になり、大きな浮きいかだを作って水の流れに乗り、新しい場所に地盤を確立する」とISCは述べ、ヒアリの集団が水の上を移動する動画をSNSに投稿。不審なアリを見かけたら写真を撮って報告してほしいと住民に呼びかけている。
クイーンズランド州はここ数週間で激しい洪水に見舞われている。北部のケアンズは豪雨で孤立状態となり、多くの住民が屋根の上に取り残された。
ISCが撮影した動画のスクリーンショットには、ヒアリの「いかだ」二つが水に浮かぶ様子が写っている/Invasive Species Council
クイーンズランド州の大発生を食い止めなければ、ヒアリはオーストラリアの隅々にまで拡散するだろうとISCは予想する。
南米原産のヒアリは作物や家畜を荒らし、毒を持っているため人が刺されるとアレルギー反応を引き起こして死に至ることもある。この100年の間に米国、メキシコ、カリブ海、中国、オーストラリアで拡散し、昨年は欧州でも初めて発見された。
ISCによると、オーストラリアでは2001年に初めて侵入が確認され、これまでにクイーンズランド州の7カ所で侵入を制圧した。目標は進入を封じ込め、根絶することにあるとしている。
しかし23年11月には隣のニューサウスウェールズ州でもヒアリが発見され、制御不能になる懸念が強まっている。