アルコールに体液に幻覚剤も、古代エジプト人が儀式で飲んでいたことが判明 新研究
バン・オッペン氏は「この研究はエジプトにおけるグレコローマン時代の魔術の儀式について教えてくれる」と指摘。専門家は、古代世界では妊娠は危険と隣り合わせだったため、妊娠の成功を確認したいときにベスの部屋を訪れていたと考えているという。そうしたことから、この成分の組み合わせについて、出産という危険な時期に幻を引き起こす魔術の儀式に使われた可能性があるという。
タナシ氏によれば、記録文書や図像学、種子や炭化した植物から得られる考古学的な物証から、エジプト人は植物とそれを摂取することによる副作用に精通していることがわかっている。
タナシ氏は「複雑な調合に驚き、新たな宗教的・呪術的な角度を加えた人間の体液の発見に衝撃を受けた」と述べた。確認された物質によって、おそらく、夢のような幻視や瞑想(めいそう)状態の高まり、多幸感が誘発された可能性があるという。
他のベスの容器の化学サンプルを研究することで、容器が単発的なイベントで使用されたのか、それとも広く行われていた習慣の一部だったのかが明らかになる可能性がある。
研究チームは今後、他の博物館に所蔵されている容器について同様の分析を行い、すべての容器に同じレシピが含まれているのか調べたいと考えている。