NBAのトルコ人選手、英国遠征に帯同せず 「米国以外に安全な場所ない」
(CNN) 米バスケットボール協会(NBA)のニューヨーク・ニックスに所属するトルコ人のエネス・カンター選手が、暗殺の恐れがあるとして英国遠征に帯同しない考えを示し、波紋を呼んでいる。カンター選手は9日、CNNのインタビューに応じ、4日に遠征不参加を発表してから毎日のように大量の殺害予告を受けていると明らかにした。
カンター選手は、母国トルコのエルドアン大統領に批判的な立場を取っている。CNNとのインタビューでは、身の安全を感じる場所は米国だけだと説明した。
カンター選手は「ロンドンに行きたい気持ちはやまやま」と強調。そのうえで、エルドアン氏が外国で反政府派を取り締まる工作を実施しているとして、「命の危険がある」と訴えた。
さらに「ジャーナリストや地域の指導者、教師など、100人を超える人が政府に反対する声を上げ、トルコに送還された。ロンドンに行くのは怖い」と主張している。
カンター選手は2年以内に米国籍を取得する予定。身の不安を感じることなく米国外に渡航できるのはいつになるかと問われると、サポートしてくれるニックスのファンや米国民に謝意を表明し、「今のところ、心から安心できる場所は世界に米国しかない」と述べた。
スポーツ専門局ESPNによると、ニックスがロサンゼルス・ レイカーズ戦に勝利した後、カンター選手はエルドアン氏を「異常者」「独裁者」などと表現。17日にロンドンで行われるワシントン・ウィザーズとの試合に出場しない考えを明らかにした。
理由については、ロンドンにはトルコ人のコミュニティーが多いため、脅威を感じると説明していた。この発言の後、「ほぼ毎日大量の殺害脅迫が届いている」という。