香港警察、民主派メディアの大物を逮捕 国安法違反の疑い
香港(CNN Business) 香港警察は10日までに、香港メディア界の大物で、民主派運動の支援と中国批判で知られる黎智英(ジミー・ライ)氏について、外国勢力と「共謀」した疑いで逮捕したことを明らかにした。
「外国勢力との共謀」の罪は、中国政府が先月導入した国家安全維持法(国安法)で新設されたもの。黎氏と共同で事業運営に当たるマーク・サイモン氏によると、逮捕の日時は10日の早い時間帯だった。
警察は声明で、39~72歳の男7人を逮捕したと説明。逮捕容疑については、外国勢力と共謀して国家安全保障を危険にさらした疑い、および詐欺を共謀した疑いとした。
声明では個人を名指ししなかったものの、報道官はCNNの取材に対し、黎氏が共謀の疑いで逮捕されたことを確認した。声明は「捜査は継続中で、さらなる逮捕者が出る可能性も排除できない」としている。
公共放送の香港電台(RTHK)によると、逮捕者には香港紙・蘋果日報(アップル・デイリー)の幹部数人が含まれる。同紙の香港事業は大きな打撃を受ける可能性がある。
蘋果日報が10日午前にフェイスブック上でライブ配信した動画には、警察が編集室を捜索する様子が映っている。警察報道官はCNNに対し、同社のオフィスに立ち入る目的で捜索令状を取得したことを明らかにした。
国安法上、外国勢力との共謀には最高で終身刑が適用される。黎氏は米政権と太いパイプを持ち、中国に対しより強い姿勢を取るように働きかけてきた。同法の成立以降に黎氏がどのような違反行為に及んだのかは不明。