米女子ハンマー投げのベリー、決勝前に拳を突き上げる 「代表するためにここにいる」
(CNN) 東京オリンピック(五輪)で3日に行われた女子ハンマー投げ決勝の前、米国のグウェン・ベリー選手(32)が拳を突き上げる場面があった。ベリー選手は「いくつかの物事に本当の変化を起こす用意がある」と話している。
ベリー選手は選手紹介時に握り拳を突き上げた後、記者団に対し、社会や人種間に存在する不公正への抗議だったと説明した。
「私は代表するためにここにいる」「私と同じ境遇にある多くの人やアスリート、多くの人々は成功したり、声を上げたりするのを恐れている。そうした人を代表できさえすれば、私は満足だ」(ベリー選手)
ベリー選手は過去にも社会問題について声を上げ、主要な陸上大会で抗議を行ってきた。
6月に自身2度目の五輪出場を決めた後には、表彰式での国歌演奏中に国旗から体を背け、「活動家のアスリート」と書かれたTシャツを頭上に掲げた。
ベリー選手はその後、国歌は選手たちが壇上に上がる前に流すと言われていたのに、「仕組まれた」と抗議の理由を語った。
2019年にはペルーで行われたパンアメリカン競技大会で拳を突き上げ、一部のスポンサーを失う結果になったこともある。
米国社会の不公正さを浮き彫りにする目的だったというこの行動により、ベリー選手は米国オリンピック・パラリンピック委員会から12カ月間の保護観察処分を受けた。
国際オリンピック委員会(IOC)が定める五輪憲章の第50条では、アスリートによる五輪関係の場所での抗議行動を禁じている。
IOCは4月、10カ月間に及んだ検討作業を完了し、第50条の維持を決定。しかし7月には、試合開始前の時間帯やミックスゾーン(取材エリア)、記者会見、インタビューでの意見表明は認める修正を加えた。