パリに戻ってくる世界最大のスポーツの祭典、不満の声も
1つの競技だけで満足という人にしてみれば、当初の予算より3倍の費用がかかる場合もある。もっとも、大会組織委員会は、不要なチケットは来年春から転売できると約束している。
「あの価格にはうんざりする」。体操の欧州選手権メダリストで五輪出場経験をもつマリーヌ・デボーブ氏は、690ユーロという体操決勝のチケット価格についてこう語った。
「この国では選手として五輪出場する方が、観客として参加するよりも楽かもしれない」と同氏はフェイスブックに投稿し、家族の分のチケットを確保できないと怒る現役選手に同調した。
CNN提携局のBFMTVによると、陸上5000メートル種目のフランス人選手ジミー・グレシエ氏はソーシャルメディアで、10人の親族をレースに招待したら6000~7000ユーロはかかると投稿した。
同氏はチケット価格について、「基本的にすべての人々が手ごろに、かつ気軽に楽しめ、ビッグなスター選手がいるわけでもないスポーツ」にしては「法外だ」と付け加えた。
「状況は理解している。皆さんをがっかりさせて申し訳ない」。パリ2024大会組織委員会のトニ・エスタンゲ会長は今年3月、CNN提携局BFMTV―RMCスポーツにこう語り、5月の2次販売では1枚ずつ個別に購入できると付け加えた。
「需要が供給をはるかに上回っているのは我々も認識している」と、エスタンゲ会長はチケットについて付け加えた。
販売される約1000万枚のうち、価格が24ユーロのチケットは10%前後、50ユーロ以下は半数にとどまる。2012年のロンドン五輪ほど高くはないというのが大会組織委員会の言い分だ。
過去の大会とは違い、パリ五輪の開会式は街を貫くセーヌ川沿いで行われ、大会の幕開けをこれまでにない形で(しかもほぼ無料で)目の当たりにすることができる。
とはいえ、水上パレードをベストポジションで見られる河岸の観覧席は有料だ。中には2700ユーロで販売されている席もある。
会場に行くまでにもハードルが
パリ2024大会組織委員会は、インクルージョンが大会運営の肝だとし、来年9月に行われるパラリンピックは「史上もっともアクセスしやすい」大会になると豪語して、アクセシビリティーの旗頭的存在と位置づけている。公式マスコット――にっこり笑った1組のフリジア帽――のひとつは義足を装着しており、大会組織委員会によれば公式マスコットとしては史上初だそうだ。