中国競泳選手のドーピング問題、パリ五輪にも影響か

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パリ五輪は今年7月26日に開幕する/Fabrice Coffrini/AFP/Getty Images

パリ五輪は今年7月26日に開幕する/Fabrice Coffrini/AFP/Getty Images

(CNN) 2021年東京五輪に出場した中国の競泳選手23人が大会前の薬物検査で陽性反応を示していたことが判明し、波紋を呼んでいる。今夏のパリ五輪に影響を及ぼす可能性もある。

米紙ニューヨーク・タイムズが独公共放送ARDと共同で報じたところによると、中国選手らは東京五輪の数カ月前に受けた検査で、禁止薬物に指定されている心臓病治療薬「トリメタジジン」の陽性反応を示していたにもかかわらず、大会への出場を認められ、複数のメダルを獲得した。

世界反ドーピング機関(WADA)は、当時の対応に問題があったとの批判を「まったくの間違い」と強く否定。中国の反ドーピング機関(CHINADA)は、「誤解を招く」報道だと主張している。

WADAのバンカ会長は22日、あらゆる適切な手続きを経て、すべての手掛かりと疑問点を精査した結果、不正の形跡や中国側の主張を打ち消す証拠は見つからなかったと述べた。

中国の国営新華社通信によると、CHINADAは検出されたトリメタジジンがごく微量だったと強調。直後の調査で、選手が知らないうちに混入物からトリメタジジンを摂取していたことが分かり、選手らは責任を問われないとの判断に至ったと説明している。

WADAのベンゼル法務顧問は22日の会見で、選手らが当時、トレーニングキャンプで滞在していた宿泊施設の厨房(ちゅうぼう)からトリメタジジンが検出されたと指摘。意図的に摂取したり、摂取させようと仕組んだりしたことを示す証拠はないと断言した。

この問題をめぐり、競泳の元五輪金メダリスト、オーストラリアのマック・ホートン選手は豪紙シドニー・モーニング・ヘラルドとのインタビューで、水泳だけでなくスポーツ界全体の品位を汚すニュースだと語り、強い不快感を示した。

ホートン選手は19年、韓国で開催された世界水泳選手権で、自身がかつて「薬物使用者」と呼んだ中国の孫楊選手と同じ表彰台に立つことを拒否して物議を醸した。孫選手は14年にトリメタジジンの陽性反応で3カ月の出場停止処分を受けていた。

孫選手は当時、治療目的で服薬したと主張したが、18年には新たなドーピング違反で8年間の出場停止を言い渡された。この処分は21年の時点で約4年間に減免されたため、同選手は来月から競技への復帰が可能になる。

だが新たに浮上した問題の影響で、中国の選手とWADAが厳しい目にさらされることは避けられない。

五輪の競泳で金メダル3個を獲得している英国のアダム・ピーティー選手は、X(旧ツイッター)に「この情報をなぜ当時公開しなかったのか。透明性の欠如と秘密主義で本当に得をするのはだれだ」と書き込み、WADAへの失望を表明した。

カナダのオリンピック委員会(COC)は報道の内容に「懸念」を表明した。米国オリンピック・パラリンピック委員会(USOPC)のハーシュランド最高経営責任者(CEO)は「公正な競技の根幹そのもの」を脅かす問題に「深く落胆」していると述べた。

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