建設に先駆け、開発エリアに生息する保護対象の植物種は近くの海洋保護区に移された。また現場を隔離し、環境への影響を最小限に抑えるために特別な海底用の遮蔽物を設置した。
プロジェクトを指揮するフランス企業ブイグ・トラボー・ピュブリックによると、独立した科学の専門家チームが、建設が完了するまで現場の水質を厳しく監視するという。
それでも自然の生息地の喪失は避けられない。ブイグはそれを補うため、幅広い種類の人工の生息地を導入する計画だ。それは生態学に基づいて垂直あるいは水平方向に延びる特定の区域に設置される。
プラットフォームやインフラの建設は2020年までに完成予定で、2025年までに地区全体が営業を開始する予定だ。
自然に近い環境作り
これは完全に人工的な国土拡張だが、ヴァロド氏は、「自然環境の中に建物が立っている感じを出す」ために、背の高いマツの木などの原生植物のある地中海の風景を導入する計画だという。
特大のバルコニーが夏は日よけになり、冬は熱の回復に役立つ。また、この地区のエネルギー需要の4割は、ソーラーパネルやポンプで賄う。ポンプでくみ上げた海水を使用し、建物を暖めたり冷やしたりするという。
今回の拡張による地形の変化には、これまでのモナコの発展ぶりが反映される。平屋住宅から高層ビルへと建物の高層化が徐々に進んでいるが、これは漁師の楽園から魅力的なリゾート地となったこの国の進化を反映している、とヴァロド氏は説明する。