当時のヘンリー8世はフランスとの戦争も抱えていた。祈祷書の他の写しは選ばれた宮廷人に配布されており、受け取った相手に対仏戦争への支持を求める役割を果たしていたとみられるという。
ヘンリー8世の手元にあった祈祷書は書き込みも含め、選ばれた宮廷人によって読まれたとみられ、個人の気持ちを映すのみならず、政治的な役割も果たしていたようだ。
右側の余白に指さしマークが書き込まれている/The Trustees of The Wormsley Fund
「ヘンリー8世は自分が模範的な存在であることを示そうとしていたのだと思う」とホワイト氏は指摘し、神に正しい道への導きを求めるくだりの横に書き込みがある点に言及した。
「彼は明らかに心配していた」とホワイト氏。「自らの治世が終わりに差し掛かり、多くの心配事を抱えていたのは間違いない」という。
研究結果は専門誌ルネサンス・クォータリーに掲載された。