スティーブ・ジョブズ氏死去から1年、評価はどう変化したか
またジョブズ氏は若かりしころに妊娠した恋人を捨て、娘のリサさんには冷たく、よそよそしい父親だった。ジョブズ氏の冷淡さを物語るエピソードがある。ジョブズ氏は、アップルの初期の従業員の1人にストックオプション(自社株購入権)を与えるのをかたくなに拒否した。同僚が間に入り、わずかでもいいから与えて欲しいとジョブズ氏を説得したが、ジョブズ氏は考えを変えなかった。
フォーチュン誌の編集主任アダム・ラシンスキー氏は「アイザックソン氏の著書は、世界の人々がジョブズ氏に対して抱いていたイメージに穴を開けた」と語った。
一方、企業人としてのジョブズ氏はどうか。アップルは昨年、大変な好業績を上げ、さらにアップルの株価はジョブズ氏が死去した時点から約300ドル上昇し、時価総額世界一の企業になった。ジョブズ氏がアップルにとって必要不可欠な人物だったとしたら、なぜアップルはジョブズ氏がいなくても、同氏がいたころよりも好業績を上げているのだろうか。