成層圏の気球でネット接続、米グーグルが実験
(CNN) インターネット大手の米グーグルが、ハイテク気球30基を成層圏に飛ばして無線LANネットワークを形成し、遠隔地にインターネット接続を提供する実験を行っている。
この計画は「プロジェクト・ルーン」と命名され、ニュージーランドの南島から気球が打ち上げられている。グーグルの推定によれば、世界の人口の3分の2は高速ネット接続を手頃な料金で利用できない状況にあるといい、同プロジェクトではそうした人たちに接続を提供して世界のネット格差の解消を目指す。
15日に行われた発表会にはニュージーランドのキー首相も出席し、現地の空軍博物館では16日に記念イベントが開かれた。
気球は地上1万8300メートルの成層圏に到達させ、管制センターから特製のソフトウエアを使って高度や方向を調整して、ネットワークを形成する。
計画通りにいけば、自宅に特製アンテナを設置した約60人が気球ネットワークに接続できるはずだという。信号は気球から気球へと伝達されて地上のインターネットに届く仕組み。1つの気球で数百人が同時接続できる見通しだ。
気球はポリエチレンプラスチックのシートでできており、完全に膨らんだ状態の高さは約12メートル。気象観測気球よりも耐久性を高めた設計になっている。
それぞれがアンテナと無線通信設備を搭載し、直径約40キロの範囲に、携帯電話の3Gサービスに匹敵する速度の接続を提供する。
気象観測機器やGPS(全地球測位システム)機器も備え、太陽光パネルで蓄えた電力で夜間も運用を継続できる。降下させる必要が生じた場合に備えてパラシュートも装備している。
ただしプロジェクトはまだ実用性を検証するための実験段階にあり、一般ユーザーが気球ネットに接続できるまでにはまだ時間がかかりそうだとグーグルは説明している。