マウスが「うそ発見器」に?、回答の動きで真偽判別 伊研究
ワシントン(CNNMoney) コンピューターを使って問いに答える際のマウスの動かし方で、真実を答えているのか嘘を言っているのか判別できる可能性がある――。そんな研究が22日までにオンライン科学誌プロス・ワンで発表された。
伊パドバ大学の研究チームは人工知能(AI)を使って、問いに正直に答えるよう指示された人々と嘘を言うよう指示された人々の回答データを分析した。経験を積む中で、AIは真実を答えているかどうかで、マウスの動きに違いが出ることを識別し始めたという。
研究に参加したのは同大学の学生60人。研究チームは半数には真実を、残る半数には架空の人物を演じて嘘の回答をするように指示した。すると、真実を答えた学生たちはマウスのカーソルを答えに向かってまっすぐ動かした。一方で、嘘を答えた人々はマウスをまっすぐに動かさず、動かす距離も長くなる傾向が見られた。
研究チームを率いたパドバ大学のジュセッペ・サルトリ教授は「私たちの脳は真実を答えるようにできている。嘘をつくときは、最初に出てくる反応を抑え込んで偽の反応に置き換えている」と説明する。
周辺情報が十分になくても、答え方から真偽を見分けられるのが、みそだ。サルトリ教授はこの技術を、身元を偽って欧州諸国に入ろうとするテロリストや、年齢を偽ってオンラインサービスを利用しようとする小児性愛者を見分けるのに使えるかも知れないと言う。
よく訓練された人物なら、質問に対して、うそであっても説得力を持って素早く回答することも可能だろう。しかし、自分の星座や自宅の近くにある通りの名前など、主題とは関係ないような質問については、回答に窮することもありそうだ。
ただ、AIの正確さはデータに基づいており、こうしたやり方には限界もある。サルトリ教授は、判定結果が人間のすべての動作を正確に反映させたものだと保証するためには、より多くのテーマを学習させる必要があると指摘する。
研究チームは続いて、キーボードの打ち方から答えの真偽を見分ける研究を行うという。