新発見の小惑星、32年に地球衝突のわずかな可能性 今後の観測で判断
(CNN) 欧州宇宙機関(ESA)と米航空宇宙局(NASA)は最近発見された小惑星「2024 YR4」について、2032年12月22日に地球に衝突する可能性が1.2%あるとの見解を示した。
ただ、ESAとNASAによれば、これは地球周辺を安全に通過する可能性が99%近くあることも意味する。研究者は今後の観測結果を手がかりに、衝突の可能性を判断するとみられる。
2024 YR4の幅は推定40~100メートル。ESAによると、このサイズの小惑星は数千年おきに地球に衝突しており、周辺地域に甚大な被害を引き起こす場合がある。
NASAジェット推進研究所の地球近傍天体研究センター(CNEOS)のディレクター、ポール・チョーダス氏はこの小惑星について、「サイズの範囲は大型ビルに匹敵する」と説明する。実際のサイズは現時点では不明な面が多く、天文学者は複数の望遠鏡を駆使した追加観測で大きさを突き止めようとしているところだという。
「仮に推定されるサイズの範囲の上限だった場合、衝突地点から50キロ離れた場所でも衝撃による被害が発生する可能性がある」とチョーダス氏。「ただ、これはそもそも小惑星が衝突する場合の話で、可能性としては低い。秒速17キロ、時速約6万1200キロという信じがたい高速で大気圏に突入するため、被害の恐れが生じる」と話す。
2024 YR4は昨年12月27日、チリのリオウルタドにある小惑星地球衝突最終警報システム(ATLAS)の望遠鏡で発見された。CNEOSの航法エンジニアを務めるダビデ・ファルノキア氏によると、この望遠鏡は地球近傍小惑星の探索を目的にNASAが資金拠出する小惑星発見プログラムの一部だという。
各種の自動小惑星警告システムは、2024 YR4が32年に地球に衝突するわずかな可能性があると判断し、警告を発信。ESAとNASAのリスクリストでは12月31日、2024 YR4がトップに躍り出た。こうしたリストは地球衝突の可能性がゼロでない既知のあらゆる小惑星を掲載している。
2024 YR4が地球から遠ざかり、観測しづらくなるにつれ、研究者はより大型の望遠鏡に頼らざるを得なくなる。ファルノキア氏によると、2024 YR4は4月上旬まで観測できるはずで、その後も太陽周回軌道にとどまり続け、次に地球周辺に戻って来るのは28年になる見通しだという。
もし各種の宇宙機関が衝突の可能性を完全排除する前に2024 YR4が観測不能になれば、28年に再び観測可能になるまでリスクリストに残ることになる。
「入手可能な追跡データを使用することで、我々は小惑星の将来の位置を予想できる」とファルノキア氏。「小惑星を追跡する時間が長くなればその分、予想の精度も上がる。追加データを収集する中で、32年に2024 YR4がどの位置に来るかを巡る不確実性は低下するだろう」と話す。
ESAによると、小惑星衝突の確率が発見直後に上昇し、科学者がサイズや軌道に関する知見を集めた後、確率がゼロに落ちることは珍しくないという。