新手の北朝鮮ハッカー集団が台頭、日本も標的に
香港(CNNMoney) サイバーセキュリティー企業のファイア・アイは20日に発表した報告書の中で、日本を含む世界の大手企業や組織が、新手の北朝鮮ハッカー集団に狙われていると指摘した。
ファイア・アイによると、「リーパー(Reaper)」と呼ばれる北朝鮮のハッカー集団は、昨年から北朝鮮の大手企業を狙ったスパイ活動を強化していたという。
過去に北朝鮮の関与が指摘されたサイバー攻撃は、「ラザルス(Lazarus)」と呼ばれる集団の犯行とされていた。しかしファイア・アイは、近い将来、リーパーが攻撃を激化させる恐れがあるとして、各国の政府機関や企業に注意を呼びかけた。標的とされる企業名は公表していないものの、フォーチュン500社に名を連ね、韓国経済に大きな影響を与える企業が狙われているとした。
この分類にはサムスン電子、現代(ヒュンダイ)自動車、LG電子が当てはまる。
リーパーは少なくとも2012年から活動を活発化させ、韓国政府や軍、国防、メディアなどに対するスパイ行為を行っていたが、昨年になって、韓国の航空、電子、自動車、製造などの大手企業に標的を拡大したという。
さらに韓国を越えて、中東や日本、ベトナムにも進出。日本ではオリンピック関連組織の関係者が狙われているという。
現時点では、リーパーは情報収集を目的としたスパイ活動を展開しているが、今後は重大な被害が出る恐れもあるとファイア・アイは指摘。「韓国経済を標的にしたいと思えば、大手企業を狙った連続ランサムウェア攻撃を仕掛けるだけで済む」と予想している。
過去のサイバー攻撃事件では、昨年起きたランサムウェア(身代金要求型不正プログラム)の大規模感染、銀行が狙われた2016年の不正送金事件、14年にソニー・ピクチャーズエンタテインメントがハッキングされた事件について、北朝鮮のハッカー集団の関与が指摘されていた。