香港のレストラン、皿の上に「禅庭園」を再現
シェフとして成功を収めたラウ氏だが、もともとシェフになるつもりはなかった。
ラウ氏は、大学卒業後、デザイナーとして広告業界で勤務し、その後、料理学校ル・コルドン・ブルーのバンコク校に入学した。さらに、ミシュランの星を獲得した香港のレストラン、セパージュに入り、シェフのセバスチャン・レピノイの下で腕を磨き、2012年にテットを開業した。
席数24席の店内は、白い壁に真鍮(しんちゅう)をあしらった上品な雰囲気だ。
「テットを開店した時、料理を通じて自分を表現し、自分が読んだ詩、自分が行った場所から得たひらめきを伝えられる、小さくて家庭的な場所にしたいと考えた」とラウ氏は語る。
ラウ氏はそれを「食べられる物語」と名付けた。
例えば、テットの定番メニューの1つである「禅庭園」は、数年前、旅行で京都を訪れた際に見た茶会からヒントを得た。「茶文化の強さを心から尊敬している。日本人の文化の多くが反映されている」と語り、日本の茶懐石に特に感銘を受けたという。