エベレスト、中国側シーズン打ち切り ネパール側登山隊も退却 コロナ懸念
(CNN) 世界最高峰のエベレスト登山について、中国がチベット側からの春の登山シーズンを打ち切った。新型コロナウイルスの感染拡大が懸念される中、ネパール側でも登山隊が計画を中止して退却を始めている。
国営新華社通信の15日の報道によると、中国国家体育総局は、チベット側からの登山隊の組織を認めていた企業に対する唯一の許可を取り消した。コロナウイルスが持ち込まれることを防ぐための措置と説明している。
今春の登山シーズンには、中国の登山家21人が登山許可を取得していた。
中国国営メディアは今月9日、ネパール側からの登山者とチベット側からの登山者の接触を避けるため、中国当局がエベレスト山頂に「隔離線」を設ける計画だと報じていた。
ネパールではコロナウイルスの症例数が急増し、同国保健相によれば14日には新規の症例数が8000例を超えた。これまでの累計のうち約20%は過去10日の間に報告されている。
症例数の急増を受けて安全上の懸念が生じたとして、ネパール側からの国際登山隊も登頂を断念している。登山隊を組織するルーカス・ファーテンバック氏はCNNの取材に対し、「登山者やシェルパを送り出したくない」「高山で具合が悪くなって死亡するかもしれない」と懸念を示し、「コロナが激増する中でベースキャンプから登頂して、顧客20人と山岳ガイド4人、シェルパ27人の生命を不用意に危険にさらすことは無責任になる」と言い添えた。
エベレストのベースキャンプでは過去数日の間にコロナ感染者が激増しているといい、ファーテンバック氏は「ネパール当局側が何もしていないことに驚く」と話している。