英リバプール、ユネスコ世界遺産の登録取り消し
(CNN) 伝説的なロックバンド「ビートルズ」誕生の地として知られる英イングランド北西部の港湾都市リバプールが、ユネスコの世界遺産登録を取り消された。
リバプールは歴史的な港湾施設で知られるが、奴隷制度の上に富を築いた町でもある。
ユネスコ世界遺産委員会は中国福建省で開かれている会合で、新しい都市開発によってリバプールの歴史的価値が大きく損なわれたと判断した。
リバプールはこれまで、ユネスコの「危機にさらされている世界遺産リスト」に登録された53遺産の1つだった。世界遺産に登録されたのは2004年、危機リストに登録されたのは12年。危機リストにはほかにも、ペルーのマチュピチュやエジプト・ギザのピラミッド、ギリシャのアクロポリスなど世界的に有名な観光地が含まれる。
ユネスコはリバプールについて「卓越した普遍的価値を伝える特性が、取り返しのつかない形で損なわれた」として、世界遺産登録の取り消しを発表した。
具体的には港湾地区で10年前から計画されている再開発計画「リバプール・ウォーターズ」について、「同地の真正性と完全性を損なわせる」とした。
同計画には集合住宅やオフィス、商店、ホテルなどの建設が盛り込まれている。
これに対して地元住民は、雇用創出のために再開発計画は不可欠だと訴えている。
リバプールのジョアンヌ・アンダーソン市長は「著しい落胆と憂慮」を表明し、ユネスコの検証は不十分だと主張。今回の決定は「完全に間違っている」として不服の申し立ても検討する方針だが、「何があろうとリバプールはこれからもずっと世界遺産都市だ」と強調した。
ユネスコ世界遺産委員会は今後、イタリアのベネチアやオーストラリアのグレートバリアリーフといった世界的な観光地についても危機遺産に登録すべきかどうか検討する。