高さ430メートルの崖の上から打つ、世界一恐ろしいティーショット 南ア

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ヘリコプターでしか来られない絶壁に立ち、遥か下方のグリーンを見つめるゴルファー/Legend Hospitality Group

ヘリコプターでしか来られない絶壁に立ち、遥か下方のグリーンを見つめるゴルファー/Legend Hospitality Group

きっかけは家族ピクニックと友人の一言

ジ・エクストリーム19番ホールが生まれたきっかけは、2000年11月のある出来事だった。シリアーズ氏の41歳の誕生日に、妻のマートさんからのサプライズで、一家はハングリップ山の山頂にピクニックに出かけた。

山頂からの景色に魅了されたシリアーズ氏は、その後すぐに友人を連れて(ヘリコプターでしか行けない)山頂を再び訪れた。そこで友人は、崖の縁からティーショットを打つよう提案した。そして下山する頃には、かつてないホールの具体的な建設計画が固まっていた。

しかし、このホールの建設には資金的障害と文字通りの障害の二つが立ちふさがった。建設に懐疑的な設計士たちは、建設費用を500万ランド(現在の価値で約3900万円)と見積もった。また建設現場にライオンが入ってくると、作業員らは安全のために近くの木の上に避難せざるを得ず、建設は断続的に中断した。

従業員らは、上から大量に降ってくるボールに当たって負傷しないようにクラッシュヘルメットをかぶりながらボールの最適な着地点を探った。そして数カ月後、南アフリカ出身のゴルフ界のレジェンド、ゲーリー・プレーヤー氏が08年にこの19番ホール初の公式のティーショットを打った。

高所恐怖症のゴルファーは、崖の縁の数歩後ろからティーショットを打つことも可能だ。そこは断崖絶壁だが、仮にゴルファーが誤って転落しても、2メートル下にある岩棚が落下を防いでくれる。

ゴルファーたちは、風の状況によって、ティーショットを5~7回打ち直すことが許されている。ボールの平均滞空時間は22秒で、崖の下ではクラッシュヘルメットをかぶったキャディーたちが、ボールの落下点を確認しようと待ち構えている。

傾斜のあるフェアウェーが約260ヤード続いており、ボールが坂を転がってフラッグを囲んでいるバンカー近くまで達することもあるため、シリアーズ氏は「ゴルフの超上級者でなくてもグリーン近くに寄せることは可能だ」と言う。

また危険な野生動物がグリーンに入らないように、グリーンの周りには電気柵が設置されているが、シグネチャーコース自体は、ヌー、シマウマ、クーズーなどが自由に歩き回れる。

ジ・エクストリーム19番ホールのプレー料金は、4人のグループで5000ランド(約4万円)で、シグネチャーコースの料金は同1000ランド(約8000円)だ。しかし、中には1ホールをプレーするためにわざわざ地球の裏側からやって来る人もいる。

シリアーズ氏は「中国や欧州から飛行機でやって来て、ジ・エクストリーム19番ホールだけプレーして帰国する人もいる」とし、「実は、そういう人はかなり多い」と付け加えた。

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