死亡事故が急増に転じた米国 スマホや温暖化、景気が原因か
ワシントン(CNNMoney) 全米で着実に減り続けてきた交通死亡事故が、昨年から今年にかけて急激な上昇に転じている。
2015年に米国内の道路で起きた死亡事故は3万5092件。14年に比べて7.2%増となり、1966年以来、最悪の増加率となった。16年はさらに悪化し、全米安全評議会(NSC)がこのほど発表した上半期の統計によれば、死亡事故は9%増えている。
事態を受けて米政府は8月29日、原因の究明に向けて対応を呼びかける異例の措置を取った。
交通事故が急増に転じた原因として専門家は、スマートフォン使用、水圧破砕法による石油採掘、気候変動、景気回復を挙げている。
水圧破砕法の採用でガソリンの供給量が増えて価格が低下したことで、車を使う人が増えて事故が増加。景気回復によって業務用の車両も増え、トラックが乗用車に衝突する頻度も高まった。
事故を起こす危険の大きい若者が通勤に車を使うことも多くなり、子どものために車を買ったり保険料を負担したりする親も増えている。
死亡事故の増加率が特に高かったイリノイ州は、暖冬の影響も指摘されている。2015年~16年にかけての冬は観測史上最高の暖かさを記録。このため車やバイクで外出する機会が多くなり、歩行者も増えて事故に巻き込まれる確率も高まった。
言うまでもなく、スマートフォンを操作しながらの脇見運転も横行するようになった。NSCの統計によれば、死亡事故が34%増えたジョージア州では、単独事故や車線逸脱、ハンドル操作の誤り、物への衝突事故が増えている。
こうした事故は脇見運転の典型で、主な原因は運転しながらのスマートフォン使用にあると同州の当局者は指摘している。