スパイサー報道官、シリア問題でヒトラーに言及 非難受け謝罪
(CNN) 米ホワイトハウスのスパイサー大統領報道官は11日、シリア政権の化学兵器使用疑惑をめぐり、ナチス・ドイツのヒトラーさえ化学兵器は使わなかったなどと発言して物議を醸した。スパイサー氏はその後、CNNとの単独インタビューで「不適切で無神経」な発言だったと謝罪した。
スパイサー氏は記者会見で「ヒトラーのように卑劣な人物でも、化学兵器を使うところまでなり下がることはなかった」と述べて、シリアのアサド政権を非難。「ロシアはこんな国、こんな政権と本当に手を結びたいのか、自問するべきだ」と主張した。
その場にいた記者らは息をのみ、発言はインターネット上で瞬時に拡散した。
会見の中で記者から説明を求められたスパイサー氏は、アサド政権が使ったとされる猛毒サリンに言及し、「ヒトラーが自国民に対してサリンを使うことはなかった」と強調した。
記者らは化学兵器の例として、ナチス・ドイツが強制収容所のガス室でユダヤ人を大量虐殺した「ホロコースト」を挙げた。これに対して同氏は、「アサド大統領が市民の住む町の真ん中に投下したのとは違う」と主張した。
会見後の声明で「ホロコーストの恐ろしさを軽視する意図は全くなかった」と弁明したが、波紋は収まらなかった。
CNNとのインタビューでは、ホロコーストはどんな史実とも「比べものにならない」との認識を示し、発言は誤りだったと謝罪した。
同氏はまた、「アサド政権の問題に集中するべきだったし、今もそうだ」と述べ、トランプ大統領の政策の妨げにはなりたくないとの考えを示した。
スパイサー氏の発言をめぐり、野党・民主党のペロシ下院院内総務やユダヤ系団体などからは、同氏の辞任を求める声も上がった。