「股間をテーザーで撃たれた」、男性が警官を提訴 現場の映像を入手
(CNN) 米アリゾナ州グレンデールで警察に抵抗したとして逮捕された男性が、股間をテーザー銃で撃たれる「拷問」を受けたとして警官を相手取り、損害賠償などを求める訴訟を起こしている。事件の現場を撮影した映像を、このほどCNNが入手した。
映像では、車から引きずり出され、下着を下ろされた姿の男性に対し、警官がまたテーザーを使うぞと怒鳴りつけ、一緒にいた子どもたちは悲鳴を上げていた。
原告のジョニー・ウィートクロフトさんは2017年7月、警官とグレンデール市を相手取って訴訟を起こした。
グレンデール警察の8日の発表によると、車の後部座席にいたウィートクロフトさんの妻アーニャ・チャプマンさんは、ボトル飲料の入った袋で警官のマーク・リンジーさんを殴ったとされる。車には6歳と11歳の子どもが乗っていたほか、運転席には夫婦の友人がいた。
駐車場の防犯カメラがとらえた映像には、後部座席から投げつけられたボトル飲料がリンジー警察官に当たり、頭部を押さえたリンジー警察官があおむけに倒れる様子が映っている。
警察によると、ウィートクロフトさんがバックパックに手を伸ばしたことから警官は不信感を募らせ、何度も車から下ろそうとしたが、ウィートクロフトさんは抵抗を続けたとしている。
グレンデール警察は、「警官は自分たちと周りにいた人たちの身の安全のため、ウィートクロフトさんを車から降ろし、武器を持っていないかどうか身体検査をしようとした」としている。
ウィートクロフトさんが連邦裁判所に起こした訴えによると、2017年7月26日、一家で宿泊施設に到着し、駐車場に車を止めたところ、2人の警官が近付いてきた。自分たちは疑われるような行動は何もしていなかったとウィートクロフトさん側は主張。身分証明書の提示を求められたために理由を尋ねると、拘束すると脅されたと訴えている。
警官は助手席のドアを開け、ウィートクロフトさんの首と右肩の間にテーザーを当てて、抵抗するつもりかと尋ねたとされる。
警官のボディーカメラがとらえた映像には、マット・シュナイダー警官がウィートクロフトさんの腕を後ろでねじり上げようとする姿が映っていた。ウィートクロフトさんは「私は何もしていない」と叫んでいる。
警官はウィートクロフトさんを車から引きずり降ろそうとしたが、ウィートクロフトの体にはシートベルトが絡まったままだった。警官はスタンガンでウィートクロフトさんの腰のあたりを撃ち、続いて背中を撃った後に、手錠をかける様子が映像に映っている。警官は手錠をかけられたウィートクロフトさんの肩のあたりを再びスタンガンで撃った。
子どもたちと妻が悲鳴を上げる中、ウィートクロフトさんの体は車外に転がり落ちたが、足にはまだシートベルトが絡まったままだった。
車とドアの間にはさまれて地面に座った格好のままうめき声を上げるウィートクロフトさんに対し、警官はさらに1発、テーザーを発射し、ウィートクロフトさんは再び悲鳴を上げた。ここでカメラの映像は警官の腕に遮られたが、テーザーの音がさらに1発聞こえている。
警官は口汚い言葉でウィートクロフトさんをののしっていた。
妻のチャプマンさんも警官を殴ったとして取り押さえられ、父を助けてシートベルトを外そうとした息子はテーザーを向けられて泣き始めた。
訴えによると、マイケル・フェルナンデス警官はウィートクロフトさんの顔面をアスファルトに押さえつけ、シュナイダー警官がウィートクロフトさんをテーザーで撃って、股間を蹴ったとされる。