米国務省、駐ザンビア大使を召還 現地政府との論争受け
ワシントン(CNN) 米国務省は26日までに、ダニエル・フット駐ザンビア大使を召還した。同大使はザンビア政府による汚職や同性愛者に対する権利侵害を厳しく非難。ザンビアの大統領から召還を求める声が上がる事態となっていた。
米国の大使が派遣国から召還されるのは異例。とりわけ現地で米国の価値観について議論した結果の召還は非常にまれなケースといえる。
フット大使は今月2日の声明で、ザンビアには同性愛を獣姦(じゅうかん)になぞらえる人がいると非難。同性愛者の権利擁護を公言する自分に対し、「悪意と憎悪」に満ちた声が寄せられることに衝撃を受けたと語った。同大使は、同性愛関係にあったとする男性2人に禁錮15年の判決が下ったのを批判していた。
保守的なキリスト教国のザンビアでは、同性愛者による性的行為は違法とされている。
米国大使から上記のような厳しい口調で公式声明が発せられるのは異例だ。フット大使はさらにザンビア政府当局者らが「数百万ドルの公金を盗んでいる」と糾弾。「ザンビアの現政権は他国の外交官が従順であるのを求める。財布から金だけを出し、余計な口出しはするなというわけだ」と述べ、米国はザンビアに年間5億ドル(約550億円)を支援していると付け加えた。
国務省の報道官は、ザンビア政府がフット大使の立場をこれ以上擁護できないとする声明を出したことに愕然(がくぜん)としたと明かした。そのうえで、米国は性的少数者に対する権利侵害に断固反対すると強調した。
ザンビアの国営メディアによれば、同国のルング大統領は米国に書簡を送り、フット大使の召還を求めていたという。同大統領は15日の演説で、米国に対して正式に不満を表明し、対応を待っている段階だと述べた。
またルング大統領はフット大使を「非礼」と批判。同性愛を獣姦にたとえて、国内法による規定を擁護する見解を示した。