緊張高まる南シナ海 米軍が空母2隻を派遣

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米空母「ニミッツ」と「ロナルド・レーガン」が南シナ海で複数の軍事訓練を実施した/Petty Officer 3rd Class Keenan Daniels/US NAVY

米空母「ニミッツ」と「ロナルド・レーガン」が南シナ海で複数の軍事訓練を実施した/Petty Officer 3rd Class Keenan Daniels/US NAVY

香港(CNN) 6年ぶりに米空母2隻が南シナ海に派遣された。紛争地域の大部分を独占しようとする中国を押し戻そうとする米政府が軍事力を誇示する最新の事例となった。

米空母2隻が南シナ海に到着したのは、中国海軍が所有権争いの起きている諸島の近海での軍事演習を終えようとしているときだった。この明らかな共時性は中国の国営メディアにとっても明白で、国営メディアは、中国が自国の主張に対抗しようとする米国の全ての試みを撃退する準備が整っていると報じた。

米海軍は声明で、空母「ニミッツ」と「ロナルド・レーガン」が防空能力の最大化と、艦載機からの長距離精密攻撃の射程の拡大を目的とした複数の軍事訓練を実施したと明らかにした。

空母「ロナルド・レーガン」の甲板の上を飛行する戦闘機「F/A18Eスーパーホーネット」=南シナ海、2020年7月4日/Petty Officer 2nd Class Samantha Jetzer/U.S. Navy
空母「ロナルド・レーガン」の甲板の上を飛行する戦闘機「F/A18Eスーパーホーネット」=南シナ海、2020年7月4日/Petty Officer 2nd Class Samantha Jetzer/U.S. Navy

米空母2隻が南シナ海に派遣されたのは2014年以来初めてであり、2001年以降でみても2度目だという。

米海軍は声明で、こうした演習について、国際法が許すところで飛行や航行、演習を行うという全ての国家の権利を擁護する米国のたゆまぬ関与を支持するものと述べた。

米軍が独立記念日に兵力を誇示する一方、中国は南シナ海の西沙(パラセル)諸島近海で5日間にわたる軍事訓練を行った。同諸島についてはベトナムや台湾も領有権を主張している。

中国は訓練の詳細を明らかにしていないが、環球時報に掲載された記事によれば、訓練は「集中的」なものだったという。

中国外務省は先ごろ、南シナ海での訓練について、主権の範囲内で合理的なものであると述べた。中国政府は約336万平方キロの南シナ海の大部分について領有権を主張している。中国はこの数年間でいくつかの諸島で軍事施設の建設を進めている。

中国は昨年、南シナ海でミサイルの発射実験も行っている。中国の習近平(シーチンピン)国家主席は2015年、当時のオバマ米大統領に対して、島の要塞化は行わないと約束していた。

米中間の関係が悪化するなか、米政府は南シナ海での演習を着実に増強している。米国は中国が実効支配する島の近くで「航行の自由」作戦を実施したほか、日本やシンガポールと合同演習も行っている。

シンガポール海軍の艦船と合同演習を行う米沿海域戦闘艦(LCS)「ガブリエル・ギフォーズ」(手前)=南シナ海、2020年5月25日/MC2 Brenton Poyser/U.S. Navy
シンガポール海軍の艦船と合同演習を行う米沿海域戦闘艦(LCS)「ガブリエル・ギフォーズ」(手前)=南シナ海、2020年5月25日/MC2 Brenton Poyser/U.S. Navy

今回の空母2隻の派遣には60機以上の航空機やミサイル巡洋艦、駆逐艦も同行しており、これはまるで、米政府は同地域におけるあらゆる影響力を中国政府に対して譲り渡すことはないと宣言しているかのようだ。

一方、中国政府は米軍の存在について、地域の不安定化をもたらすと指摘。中国外務省広報官は「域外の一部の国が、大規模な軍事活動のために数千マイルも移動して南シナ海を訪れて、武力を誇示することは、南シナ海の安定に影響を与える根本的な理由である」と述べた。

米太平洋軍統合情報センターの元責任者、カール・シュスター氏は空母を2隻派遣するのは、少なくとも今のところは、米海軍だけだという。

中国が保有する稼働している空母は1隻のみで、2隻目の就役に向けて動いている。しかし、米空母2隻ほどの航空機の搭載能力はない。さらに2隻は、3隻目の空母「セオドア・ルーズベルト」とフィリピン海で演習を終えたばかりだった。

シュスター氏は、中国軍と米軍との間にある軍事力の差は明白であり、中国や地域にとって、軍事的、地政学的なメッセージとなると指摘した。

一方、中国は米空母について、「張り子のトラ」と指摘。中国政府は南シナ海での立ち位置を守るための十分以上の火力を保持しているとしている。

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