米大統領選、両候補が激戦州フロリダで集会 コロナ対応めぐり応酬
(CNN) 来月3日に投票日が迫った米大統領選での勝利を目指すトランプ大統領とバイデン前副大統領は29日、ともに激戦州のフロリダ州で選挙集会を開催した。国内で依然として猛威を振るう新型コロナウイルスの感染について、両候補者はそれぞれの支持者に向け、大きく異なる主張を繰り広げた。
南部のブロワード郡でドライブイン方式による集会を開いたバイデン氏は、聴衆に対し、マスク着用や相互の距離の確保といった感染対策を実行してくれていることへの感謝を述べた。
そのうえでパンデミック(世界的大流行)の流れを変え、「フィクションではなく科学を」選択するには、フロリダ州での勝利によってトランプ氏の再選を阻止する必要があると訴えた。
バイデン氏は、フロリダ州を民主党が取れば「戦いは終わる」と明言。「この国の命運が、まさにフロリダ州での結果にかかっている。あなた方次第だ。あなた方がかぎを握っている」と強調した。
一方、タンパでの大規模集会に臨んだトランプ氏は感染者の増加を重要視しない姿勢を誇示。「我々は感染症のことを分かっている。ソーシャルディスタンスを確保する。必要な対策はすべて行う。(中略)人に近づくときは、マスクをする」と語った。
ただ集まった支持者の中にマスクをした人はほとんどおらず、CNNの記者が伝えたところによれば聴衆の大半は肩を寄せ合って立っていた。密集状態による体感温度の上昇で体調不良に陥り、治療を受けた参加者も複数いたという。
トランプ氏は、州の経済活動を迅速に再開したとして共和党のデサンティス知事を称賛。一方で米疾病対策センター(CDC)の指針に従い、集会に際して参加者同士の距離の確保やドライブイン方式を採用するバイデン氏をからかう場面も見られた。
この数時間後、同じタンパで集会を開いたバイデン氏は、感染対策の指針を軽視するトランプ氏を批判。またも感染を広げる大規模イベントを実施したとし「彼はコロナウイルス以上のものをまき散らしている。分断と不和を拡散している」と非難した。
上記のブロワード郡での演説でも、科学者の声に耳を貸さないトランプ氏を糾弾。これまで22万5000人を超える米国民がウイルスの犠牲になったのは、トランプ氏の「怠慢」が原因だと主張した。
29日の米国内の新規感染者数は8万8000人を突破し、1日当たりの感染者数での過去最高を記録した。