米ボーイスカウトでの性的虐待、9万2000件超の訴え

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ボーイスカウトでの性的被害の訴えが9万2000件を超えた/Tom Pennington/Getty Images

ボーイスカウトでの性的被害の訴えが9万2000件を超えた/Tom Pennington/Getty Images

(CNN) 米国のボーイスカウトでの性的虐待被害を訴える訴訟で、ボーイスカウト米国連盟(BSA)に対する訴えの数が少なくとも9万2700件に達したことがわかった。原告弁護団の代表の1人が明らかにした。

アンドリュー・バンアースデール弁護士によると、15日時点では推定8万2000件だったが、訴えの期限である16日午後5時の後、裁判所から9万2700件との連絡があったという。

ロサンゼルス在住のジル・ゲイルさん(58)は少年時代をアラバマ州で過ごし、1970年代に2度虐待を経験したと語る。「これほど多くの人に虐待が起きていたことは残念だ」としつつも、「多くの報告によって人々の注目が集まり、他の子どもたちが我々と同じような虐待に遭うのを防げることはうれしい」と話す。

また、可能な限り多くの人に被害を訴え出てほしいとも述べ、「経験したことが認知してもらえるということを彼らに知ってほしい」と語る。

BSAは声明で、過去の虐待で影響を受けた人々の数に打ちのめされており、その痛みをなかったことにできないことが心苦しいと述べた。

バンアースデール氏は過去1年7カ月間にわたり被害を主張する人々数千人と会話し、BSAでの性的虐待は「不文律」となっていたとの見方を示す。「ヒアリングの結果、性的虐待は国中の組織で通過儀礼となっていた。バッジを獲得するためにこなさなければいけない他の課題と同様だった」と語る。

BSAは破産法の適用申請

BSAは国中で数百もの性的虐待訴訟を提起される中、今年2月に連邦破産法第11条(日本の民事再生法に相当)の適用を申請した。

申請時、BSAは「我々のプログラムを純粋な子どもを虐待するのに利用する時代があったことは言語道断だ」との声明を出した。

破産申請の臆測は18年12月ごろから持ち上がっていた。19年4月にはBSAは裁判所での証言で、1940年代後半以降、7800人以上の指導者が少なくとも1万2000人の子どもを性的に虐待していたとの認識を示していた。破産申請により性的虐待の訴訟の進行はいったん中断した。

原告を代表するシアトル拠点の弁護士、マイケル・ファウ氏によると、原告は通常の民事手続きではなく破産裁判所で訴訟を続けることになる。「彼らの人生が詳しく調べられることはなくなるが、陪審による審理を受ける権利を失う。多くの虐待被害者にとって、法廷で自分の話をして相手方の組織に防御をしいることは、精神の浄化につながる。これが破産では起こらない」とファウ氏は語る。

BSAは破産法申請が被害者全員の利益にかなうと主張

連邦破産法11条を専門とする法律事務所を雇ったとされる時期の後、BSAは同組織への少女の加入や、新たなトップの任命、性的被害を受けた男性を支援する組織との連携などを破産申請前に行った。

BSAのトップは被害者に宛てた公開書簡で、破産申請は組織が全ての虐待被害者に等しく補償できるようにするのが目的だと発言。BSAは自らその財務を再構成し、被害補償のための基金を作るとも述べた。

破産申請はBSAの110周年を迎えた数日後に行われた。同組織の資産は10億~100億ドル、負債は1億~5億ドルと見積もられている。

性的被害の訴えはこの数カ月で急増した。弁護士らによると、5月時点では2000人の男性が訴えに加わったが、その後BSAが数百万ドルを投じて被害者に訴訟に加わるように呼び掛けるテレビCMを放映。人数増加のペースが上がり、9月になって急増し始めたという。

BSAは最近の声明で、「我々は被害者にコンタクトし、補償の受け取りに必要な手順を踏んでもらうためにあえて公開の、アクセスが容易な手続きを展開した。被害者からの反応は断腸の思いで、大変申し訳なく思う」と述べた。

原告団のバンアースデール弁護士は、BSAが言葉通りに全力で被害者を救済するかが問題だと述べ、子ども時代の被害者に対して行った過ちを「今再び繰り返さないでほしいと願う」と述べた。

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