米、不法移民の逮捕と強制送還が減少 前政権から方針転換
(CNN) 米国に不法入国して逮捕、強制送還された人の数がバイデン政権下で減少したことが7日までに分かった。同政権はトランプ前政権の方針から転換し、これらの法執行の対象を国の安全に関する脅威や犯罪歴を伴う人物に絞っている。
米移民税関捜査局(ICE)が先月逮捕した不法移民は2214人と、昨年12月の6679人から減少した。同月はトランプ氏が1カ月通して大統領職に就いていた最後の月だった。
バイデン政権下のICEが現在優先して取り締まるのは、国家安全保障や国境の治安、公共の安全に脅威をもたらす移民となっている。トランプ前政権からのこうした変化は、バイデン氏が就任後間もない大統領令への署名を通じて進めた。
逮捕と強制送還の減少は、米紙ウォールストリート・ジャーナルが最初に報じていた。
今年に入りICEが新たに導入した法執行のガイドラインは、オバマ元大統領の時代に立ち返る、重点主義に基づく内容だ。ICEの高官は6日、CNNに対し、当該の指針について、限りある人員を最も切迫した安全上の課題に集中させることを目指していると説明した。
大規模な職場での一斉検挙などが話題に上っていたトランプ氏のころとは異なり、バイデン政権下のICEの活動は互いに連携を取り、優先性の基準を満たしていない法執行や排除行動は事前に承認を得るよう指示が与えられている。
前出の高官は、新たな指針に対する現場の評価について、人により肯定的なものと否定的なものに分かれると語った。
逮捕と同様に、強制送還の数もバイデン政権下で減少している。先月強制送還された人の数は2886人だが、昨年の12月と10月はそれぞれ5838人、1万353人だった。
また現会計年度において、ICEが拘束している1日当たりの人数の平均は先月時点で1万5914人と、前会計年度の同3万3724人、前々会計年度の同5万165人から減少した。これには新型コロナウイルスの感染拡大による制限措置も影響しているとICEは説明する。