退任のNIH所長、前大統領の圧力認める コロナ治療薬の承認などめぐり
ワシントン(CNN) 19日付で米国立衛生研究所(NIH)所長から退いたフランシス・コリンズ博士は同日、米CBSニュースとの退任インタビューで、トランプ前大統領から新型コロナウイルス感染症の治療薬などをめぐって圧力を受けていたことを認めた。
コリンズ氏はインタビューで、在任中のトランプ氏から科学的根拠のない治療薬を承認するよう迫られたが、応じるくらいなら辞任する覚悟ではねつけたと振り返った。
コリンズ氏は「政治的、党派的な議論には立ち入らないよう全力を尽くしてきた。それは医学的研究のあるべき場所ではないからだ」「職にとどまるためだけに科学的な信念を曲げるつもりはなかった」と強調した。
トランプ氏は在任中、抗マラリア薬「ヒドロキシクロロキン」が新型コロナの治療薬になると繰り返し、自身も服用したなどと主張した。だが専門家らはその効果に疑問を呈し、副作用の恐れがあると警告。米食品医薬品局(FDA)は昨年6月、新型コロナ治療薬としてのヒドロキシクロロキンの緊急使用許可(EUA)を撤回した。
コリンズ氏はまた、国立アレルギー感染症研究所のファウチ所長を解任するよう野党共和党から圧力を受け、抵抗していたことを改めて認めた。
ファウチ氏が呼び掛けてきた感染対策は、トランプ氏を含む共和党勢から「過剰」との強い批判を受けた。コリンズ氏は「科学を信じるNIH所長が政治的圧力に屈し、感染症の世界一の権威を解任する状況など想像できるだろうか」と問い掛けた。
同氏はまた、新型コロナのワクチン接種を6000万人が拒否する事態は予想していなかったとも語った。