トランプ前政権のホワイトハウス文書、議会に提出へ 米最高裁の判断受け
(CNN) 米連邦最高裁は19日、トランプ前政権時代のホワイトハウスの大統領関連記録を米議会襲撃事件を調査する下院特別委員会に提出する道筋を付けた。
今回の裁判所の判断を受け、700以上の文書が議会に送付されることになる。これにより、2020年大統領選結果の認証の阻止を図った議会襲撃事件につながる出来事の調査が進む可能性がある。
最高裁判事のうち、クラレンス・トーマス判事だけが自分は国立公文書館から委員会への文書提出の差し止めを求めるトランプ前大統領からの要請を認めただろうとの見解を公にした。他の判事は判断を公表していない。
バイデン政権は、文書の公開は米国の国益にかなうと判断し、大統領特権を主張せずに文書の提出を支持している。
委員会は大統領選の結果を覆す取り組みでトランプ氏が果たした役割を調査している。その中には、支持者に議事堂に向かうように呼びかけた事件当日の集会へのトランプ氏の出席も含まれる。
文書には活動記録、予定、演説のメモ、メドウズ大統領首席補佐官(当時)の手書きの3ページのメモが含まれる。トランプ氏支持者が集まり、議事堂を襲撃していた最中にホワイトハウス西棟で何が起きていたのかを明らかにする文書となる可能性がある。
国立公文書館が裁判文書で明らかにしたところによると、トランプ氏は事件に関連して亡くなった2人の警察官をたたえる声明の草稿や、選挙不正や選挙結果を覆す取り組みに関する文書の非開示も求めている。
トランプ氏の弁護士は判事らに対し、議会には文書を求める正当な立法上の目的がないと強調。「政治的目的の達成のために」前大統領の機密文書を調べることは許されないと主張していた。
一方、連邦政府を代理するプレロガー訟務長官は、バイデン大統領が1月6日の「異常な出来事」に照らせば大統領特権の主張は「正当化されない」と判断したと述べていた。
連邦控訴裁は、トランプ氏が「バイデン氏の判断や、これらの文書に関する立法府、行政府間でこぎづけた合意を裁判所が覆すための根拠を示さなかった」と指摘し、トランプ氏の要請を認めなかった。事件は「米英戦争以来の議事堂に対する最も深刻な攻撃」とも言及したが、最高裁の判断が出るまで判決を停止することに同意していた。
最高裁は控訴裁の判決の一部を引用し「控訴裁は、トランプ前大統領の主張は同氏が現職であっても認められないと結論づけており、前大統領としての地位では必然的に裁判所の決定に変化をもたらさない」と述べた。
CNNの最高裁専門家でテキサス大学ロースクール教授のスティーブ・ブラデック氏は、今回の最高裁の判断はトランプ氏にとって大きな後退になると指摘。「判事らは控訴裁がトランプ氏の訴えを正しく退けたのかについては判断していないが、提出を差し止めないことにより、控訴裁の判決を最終的な文言とならしめた」と述べた。