「オースキーパーズ」の指導者ら11人、扇動共謀罪で起訴 米議会襲撃
(CNN) 昨年1月6日に発生した米議会議事堂襲撃事件で、連邦大陪審が12日、極右団体「オースキーパーズ」の指導者スチュワート・ローズ容疑者ら11人を扇動共謀罪で起訴したことがわかった。
本事件で同罪での起訴は初。これは暴動が単なる熱狂した抗議デモ隊から起きたとの考えを排除するもので、事件前にあったとされる計画や準備の新たな情報も示されている。
13日に公表された起訴状によると、ローズ被告とその共謀者は「政権移行を規律する法令の執行を力によって阻止、妨害、遅延することで、合法的な大統領権力の移行を力によって阻む」ことを共謀したとされる。
最近提出された法廷文書では、オースキーパーの1人であるトマス・クラッドウェル被告が1月6日より前に、ワシントン特別区に偵察旅行に行くことを主張していたことが明らかになった。被告は今月逮捕された。
また起訴状からは、ローズ被告が送信したとされる通信の存在も新たに明らかになった。検察は通信内容について、合法的な政権移行を阻むために実力行使を促したものだと指摘している。
ローズ被告は昨年11月5日、暗号化メッセージアプリ「シグナル」で、「内戦なしにこれを終えることは出来ない。それには遅すぎる。心と体、精神の備えをしておくように」と述べたとされる。また12月には、選挙人団の投票結果の承認について、「この状況を抜け出せる普通の政治的、法的なやり方はない」と記したとされる。
検察は以前、ローズ被告が議事堂襲撃中、オースキーパーズの他のメンバーとのやり取りにシグナルを使ったと指摘していた。
ローズ被告は襲撃当日の午後1時38分、議会の包囲が始まった直後に、シグナルで「トランプがやっているのは不平を言うことだけだ。何か行動を起こそうという意図が見えない」「従って、愛国者は自らの手でそれをやる必要がある」などと述べたとされる。
今回の起訴は議事堂襲撃事件に関する司法省の捜査の大きな転換を示すものだ。
司法省はこれまで扇動の概念を前面に出すことに慎重で、議会手続きの妨害を共謀した罪で右翼団体関係者を起訴してきた。扇動共謀罪は、有罪になった場合の結果は妨害罪と同じだが、罪状に使われることはまれ。政治的な色合いが濃く、過去に司法省が裁判で同罪をうまく利用することは困難だった。