世界初のブタ心臓移植、手術受けた男性患者が死亡 米

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移植を受けたデビッド・ベネットさんとバートリー・グリフィス医師=2022年1月/University of Maryland School of Medicine

移植を受けたデビッド・ベネットさんとバートリー・グリフィス医師=2022年1月/University of Maryland School of Medicine

(CNN) 米メリーランド大学医療センターは9日、遺伝子操作したブタの心臓移植手術を世界で初めて受けた57歳の男性が死亡したと発表した。

死亡したデビッド・ベネットさんは数日前から容体が悪化して、8日に死亡した。緩和ケアを受け、亡くなる前に家族と意思疎通することができたという。

移植手術を行った外科医のバートリー・グリフィス医師は「ベネットさんの死に打ちのめされている。最後まで戦い抜いた勇敢な患者だった」との声明を発表した。

ベネットさんは心疾患の末期状態にあり、通常の心臓移植や人工心臓ポンプには適さないと診断されて、今年1月7日にブタの心臓を移植する手術を受けた。

ドナー(臓器提供)のブタの心臓は再生医療を手がける米レヴァイヴィコアが提供。人の免疫のはたらきによって拒絶反応を引き起こす3種類の遺伝子が取り除かれ、ブタの心臓組織の過大な成長を防ぐためにもうひとつの遺伝子が除去された。さらに、免疫受容にかかわる人の遺伝子6種類が挿入された。

医療センターによると、術後数週間の間、心臓は順調に機能していて、拒絶反応の兆候はみられなかった。

ベネットさんは家族と一緒に過ごして理学療法のリハビリを受け、療法士と一緒にスーパーボウルも観戦。退院して愛犬に会いたいといつも話していたという。

手術前にベネットさんは「死ぬかこの手術を受けるかのいずれかだった。私は生きたい。無謀だと分かっていても、それが私の最後の選択だ」とコメントしていた。

米国では移植用の臓器が不足している。臓器移植団体によると、移植待機リストには全米で10万6000人以上が登録し、臓器移植を待つ患者が年間17人死亡している。2021年には4万回以上の移植が行われた。

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