数カ月にわたる米政府内部の協議で、司法省はボウト受刑者との交換に反対したと、この件に詳しい関係者は話した。しかし、司法省は最終的にボウト受刑者との交換がバイデン大統領を含め、国務省とホワイトハウスの高官から支持を得ていることを受け入れたという。
米政府は長い間、囚人交換に抵抗してきた。各国に対し、米国人を拘束して交渉の材料にしようという動機を与えるとの懸念があるためだ。一方、賛成派はこうした懸念に疑問を呈し、米国人が帰国できることの方が重要だと主張してきた。
バイデン政権の高官たちの間では、今年初めにロシアで2年以上拘束されていた元海兵隊員のトレバー・リード氏の解放に成功した後、囚人交換という考え方が新たに広まった。リード氏は、コカイン密輸容疑で懲役20年の有罪判決を受けて当時服役していたロシア人パイロット、コンスタンチン・ヤロシェンコ受刑者と交換された。
バイデン政権は、リード氏とヤロシェンコ受刑者を交換するという決定が共和党から批判されることを懸念していたが、普段は政権を厳しく批判する共和党員も含む超党派の賞賛を得た。これを受けて、バイデン政権はウィラン氏とグライナー氏をロシアから脱出させるために、交換の可能性も含めてあらゆる選択肢を再検討するようになったと関係者は話している。
解放が実現すれば11月の中間選挙前にホワイトハウスに政治的勝利を一つもたらすことになる。当局者の数人はCNNにこうした面があることを認めた。