(CNN) トランプ前米大統領の弁護団が司法省の当局者と直接協議を行っていることがわかった。事情に詳しい複数の情報筋がCNNに明らかにした。昨年1月6日に起きた連邦議会議事堂襲撃事件の刑事捜査が進む中、捜査に関して両者の間で協議が確認されたのは初めて。
協議の内容はトランプ氏が大統領在任中に交わした会話が捜査から保護されるかどうかが中心となっている。
この数週間で捜査はトランプ氏周辺に及んできている。捜査官はホワイトハウスの元高官に召喚状を出し、2020年大統領選の結果を覆す試みについて解明を進めている。
情報筋によると、トランプ氏の弁護団は捜査を進めるワシントンの連邦検事局および捜査トップのトーマス・ウィンダム検事と協議している。
現段階では、ホワイトハウス西棟からの証人がトランプ氏と交わした会話が大統領特権で連邦大陪審から守られるかが焦点となっている。
司法省はこの件を巡って、トランプ氏との法廷闘争入りも視野に入れている。連邦大陪審は既にホワイトハウスの法律顧問と副法律顧問、ペンス前副大統領の法律顧問と首席補佐官に召喚状を出している。
情報筋によると、弁護団はトランプ氏に対して、刑事訴追の可能性はあると警告しているという。
弁護団の一部はこの数カ月で少なくとも2回防御戦略の検討を行った。事情に詳しい2人の情報筋が語った。
こうした情報筋によると、トランプ氏は弁護士に対し、自身が正式起訴されると本当に思うのかと質問攻めにした。起訴されることに依然大きな疑いを抱いている様子だったという。
トランプ氏に近い別の情報筋は、周囲の人々の訴追についてもトランプ氏が質問をしていたと語った。トランプ氏はそうした人々が訴追を受ける可能性を懸念しているという。
別の人物によると、トランプ氏は法廷戦略の話より今秋の中間瀬挙や24年の大統領選の話をするときの方が見るからに積極的な様子を見せている。また直面しているさまざまな捜査について、政敵が進めているもので「魔女狩りだ」との批判も繰り返しているという。
トランプ氏の広報担当はCNNに寄せた声明で「重大で憲法に基づく大統領や弁護士依頼人間の秘匿特権を、党派的および政治的な訴追で損なおうとする協調した取り組みが存在するのは明白だ」と述べた。
さらに「将来の大統領は自身の弁護士や法律顧問、上級顧問と秘密の会話をできるだろうか。もしそうした顧問がこのような特権対象の秘密の会話を開示するように強要されるならだ」とも記し、「トランプ氏が魔女狩りやインチキな裁判におびえて米国や憲法、真実を守り闘い続けることをやめることはない」と付け加えた。
司法省にコメントを求めたが返答はない。