元恋人殺害の罪で終身刑、男性受刑者の有罪判決無効に 米ボルティモア
ボルティモア(CNN) 米メリーランド州ボルティモアで1999年に元恋人を殺害したとして有罪判決を言い渡されたアドナン・サイード受刑者の再審請求で、ボルティモア市の裁判所は19日、検察側の申し立てを認めてサイード受刑者の有罪を無効とする判断を言い渡した。
この事件は8年ほど前にポッドキャスト番組の「シリアル」に取り上げられたことで脚光を浴びていた。サイード受刑者は一貫して無罪を主張。ボルティモアの検察は先週、サイード受刑者の再審を求める申し立てを起こした。
サイード受刑者は、元恋人のヘイ・ミン・リーさんが殺害された事件に関連して殺人や強盗、誘拐、監禁などの罪で有罪を言い渡され、終身刑を宣告された。
ボルティモア市裁判所のメリッサ・フィン裁判官は、州の捜査当局の資料が弁護側に適切に引き渡されなかったと認定。捜査の過程で別の容疑者2人を無関係とした判断は不適切だった可能性があると指摘した。
判決が言い渡されると法廷内で歓声が上がり、涙ぐむ人もいた。白いボタンダウンシャツにネクタイ姿で出廷したサイード受刑者は、手錠はされていなかったが、足錠をはめられていた。判決後に足錠が外され、サイード受刑者は支援者の拍手と歓声に迎えられて裁判所を出ると、記者団の取材に応じることなく車に乗り込んだ。
ボルティモア市検察のマリリン・モスビー検事は19日、判決を受けて「まだアドナン・サイードが無罪だと宣言したわけではない」とした上で、「正義と公正の観点から彼には再審の権利がある」と強調した。