米民主党の議員団、Xを非難 ハマスのプロパガンダで利益得ている
ワシントン(CNN) 米連邦議会下院民主党の議員の一団が、21日付けの書簡でSNSのX(旧ツイッター)を非難した。パレスチナ自治区ガザ地区を実効支配するイスラム組織ハマスとイスラエルとの戦争を巡り、前者の宣伝工作と誤情報から利益を得ているというのが理由だ。これに先駆け、独立系の調査機関が、X上にハマスを賛美するアカウントが数多く存在するとの報告を行っていた。
米国はハマスをテロ組織に指定している。
20人以上の議員が署名した今回の書簡の宛名はXのオーナー、イーロン・マスク氏と、リンダ・ヤッカリーノ最高経営責任者(CEO)。
書簡は戦略的対話研究所(ISD)や米IT業界監視団体テック・トランスペアレンシー・プロジェクト(TTP)といった団体による分析を引用し、Xがハマスによるテロリスト側のプロパガンダの拡散から利益を得ていることは明白だと示唆。それに対し、議員らが激怒していると伝える。
利益はプロパガンダを拡散する複数のユーザーから徴収する毎月の定額利用料と、投稿へのリプライに表示される広告の両方を通じてもたらされるとしている。
先月公表されたある報告は、Xの有料サービスを利用する複数のアカウントがハマスの図像や暴力的もしくは残酷な画像を伴う動画を共有する事例を複数確認したと主張していた。
別の報告の主張によれば、有料サービス利用者が開設する数十のアカウントで「戦争に関する虚偽もしくは裏付けのない言説」が取り上げられているのを確認したという。誤情報を拡散するこれらの投稿は、これまで全世界で少なくとも1億回閲覧されている。
カリフォルニア州選出のアダム・シフ下院議員らが主導する議員グループは、Xがテロリストによるプロパガンダの違法な拡散を故意に許容し、そこから利益を得ていると糾弾。「世界で最も使用されるソーシャルメディアプラットフォームの一つがそのような行動をとるのは全く受け入れられない」と述べた。
こうした議員らからの非難についてXにコメントを求めたが、現時点で返答はない。
マスク氏は21日、突然の発表を通じ、Xがガザでの戦争に関連した広告及び有料サービスからの売り上げを全てイスラエルの病院並びにガザで活動する「赤十字と赤新月」に寄付すると明らかにした。ただ同氏が具体的にどのようなコンテンツについて言及しているのか、発表が議員らの書簡と直接関連するものなのかどうかは判然としない。
Xの業務運営を統括するジョー・ベナロック氏は自社の計画を明言せず、寄付が「相当の額になる」との見通しのみ示した。
書簡はヤッカリーノ氏とマスク氏に対し、来月1日までに回答を要求。Xが自社の方針に反し、テロリストのプロパガンダを拡散しているとする非難への答弁を求めている。