ブタの腎臓、生きた患者に移植 米病院で世界初
(CNN) 米東部マサチューセッツ州のマサチューセッツ総合病院は21日、遺伝子操作を行ったブタの腎臓を脳死者でない患者に世界で初めて移植したと発表した。術後の経過は順調で、患者は間もなく退院する見込みという。
移植を受けたのは重い腎臓病を患っていた男性(62)。同病院によると、手術は16日に行われ、4時間に及んだ。
同病院では1954年に世界で初めて腎臓移植が行われてもいる。
執刀した医師らは、移植した腎臓が数年間機能する可能性があるとの考えを示しながらも、動物の臓器のヒトへの移植には未知な点が多いことも認めた。
病院が提供した男性の声明によると、男性は11年間移植を待ち、2018年に腎臓の提供を受けた。しかし昨年から腎不全の兆候が現れ始め、透析を再開。「末期」との診断が下された。
その際、医師らからブタの腎臓の移植について提案され、男性は「自分が助かるためだけでなく、移植を必要とする多くの人に希望を与えるものだと考えた」と決断に至った経緯を説明した。
臓器移植の需要は、提供数を上回っている。米国では毎日17人が臓器移植を待つ間に亡くなっており、腎臓が最も不足している。全米臓器分配移植ネットワークによると、昨年は約2万7000件の腎臓移植が行われたが、腎臓移植を希望する患者は約8万9000人だった。
動物の臓器をヒトに移植する異種移植は臓器不足を解決する上で重要だと指摘する専門家もいる。
ブタの臓器が生きたヒトに移植されるのは今回が3例目。最初の2例は心臓移植で、2人とも移植から数週間で亡くなった。