米国の航空安全、「もはや絶対的基準ではない」 議会の公聴会で証言
ワシントン(CNN) 数十年にわたり、米国の当局者は自国の航空システムについて安全の「絶対的な基準」だと好んで口にしてきた。4日に開かれた連邦議会下院の公聴会は、そうした主張に疑念を投げかけるものとなった。
公聴会では、米国の航空管制システムが抱える問題点について議員が関連機関を追及。老朽化したインフラや慢性的な航空管制官の不足、破綻(はたん)したとされる雇用の手続きが議題に上った。
下院航空小委員会の委員長を務めるトロイ・ニールス議員は、米連邦航空局(FAA)が管轄する138の航空管制システムのうち、105は維持不可能もしくは維持不可能になる恐れがあると指摘した。
「航空安全にかけては絶対的な基準を自認する国にとって、この数字は受け入れられない。改善が必要だ」とニールス氏。事態をFAAのみの責任とするのではなく、自分たちの落ち度にも目を向けなくてはならないと述べた。
米国では1月29日にアメリカン航空の旅客機と米陸軍のヘリコプターが空中衝突した事故をはじめとして、航空関連の事案が相次いでいる。
FAAに30年勤務し、その半分を航空管制官として過ごしたポール・リナルディ氏は公聴会に出席し、「我々はもはや航空の絶対的基準ではない」「世界的に見ても上位の部類にさえ入らない」と証言した。
先週、ダフィー運輸長官はFAAの航空管制官採用を強化するべく昇給などの計画を打ち出したが、公聴会では民主党議員らから起業家イーロン・マスク氏率いる政府効率化省(DOGE)によるFAAの職員削減に対する質問が飛んだ。
ジョージア州選出のハンク・ジョンソン議員は「共同大統領のマスク氏とトランプ氏が500人を超えるFAA職員を解雇する方針なのに唖然(あぜん)とさせられる。そこにはレーダーシステムや降着装置の整備に携わる職員も含まれる。ただでさえ航空安全が危機に直面しているこの時に」と述べた。